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筑波大学計算科学研究センター量子物性研究部門/
数理物質科学研究科物理学専攻表面界面物性研究領域

研究内容RESEARCH

研究テーマ    

実空間差分法に基づく第一原理電子状態・伝導特性計算手法と計算コード(RSPACE)の開発
実空間差分法に基づく第一原理計算手法およびこの方法に基づいた計算コードRSPACEの開発を行っています。この方法は、優れた並列化性能を示すため、「京」コンピュータをはじめとする世界最高性能のスーパーコンピュータを使って、高速なシミュレーションを実現します。また、従来の平面波基底を用いた計算法のように周期境界条件に制約されないため、電気伝導特性の計算が可能です。本研究室では、スピン軌道相互作用やノンコリニア磁性の組み込みなどRSPACEコードの高機能化に加え、開発した計算コードをスーパーコンピュータで効率的に実行できるようチューニングも行っています。
 
[参考文献]
[1] T. Ono, K. Hirose, Phys. Rev. Lett. 82 5016 (1999).
[2] K. Hirose, T. Ono, Y. Fujimoto, S. Tsukamoto, First-Principles Calculations in Real-Space Formalism - Electronic Configurations and Transport Properties of Nanostructures -, (Imperial College Press, London, 2005) ISBN: 978-1860945120.
[3] T. Ono, K. Hirose, Phys. Rev. B 72 085115 (2005).
[4] T. Ono et al., Phys. Rev. B 82 20115 (2010).
[5] M. Heide, T. Ono, J. Phys. Soc. Jpn. 82 114706 (2013).

  パワーデバイス用高移動度界面の機能評価・予測と計算科学手法による設計
SiCなどワイドバンドギャップ半導体は、次世代のパワーデバイス用チャネル材料として期待されています。しかし、MOS界面のキャリア移動度は、期待されたほど大きくなく、ON-OFFの繰り返しによる閾値電圧の不安定性も問題になっています。これらは、MOS界面の原子レベルでの欠陥が原因と考えられています。本研究室では、第一原理電子状態・伝導特性計算コードRSPACEを用いて、デバイス性能を劣化させる欠陥(キラー欠陥)を特定し、その滅処理方法の提案を行っています。
[参考文献]
[1] T. Ono, S. Saito, Appl. Phys. Lett. 106 081601 (2015).


次世代ナノエレクトロニクスデバイス用高機能界面の機能評価・予測と計算科学手法による設計
ナノエレクトロニクスデバイスは、スケーリング則による高性能化の限界を迎え、Siよりも移動度の高い材料や、誘電率の高い絶縁膜(High-k)を用いたデバイスの開発が進められています。これらの材料を用いたデバイスの界面は、従来のSi/SiO2の界面と違い、界面欠陥を原因とする性能や信頼性の低下が問題になっています。本研究室では、RSPACEを用いて、界面の欠陥をはじめとする電子状態の理解と制御を行うための研究を行っています。 
[参考文献]
[1] S. Saito, T. Hosoi, H. Watanabe, T. Ono, Appl. Phys. Lett. 95 011908 (2009).
[2] S. Saito, T. Ono, Phys. Rev. B 84 085319 (2011).

ナノ構造の電気伝導特性の解明と新奇な機能を持ったナノ構造のデザイン
サイズが電子の平均自由行程よりも小さいナノ構造では、電気伝導が弾道的になり、マクロスケールとは異なった振る舞いを見せます。たとえば、原子鎖の量子化コンダクタンスがその一例です。このような原子・分子スケールのナノ構造体は、次世代デバイスの素子としての応用が期待されています。本研究室では、第一原理電気伝導計算を駆使し、ナノ構造の電気伝導特性評価と新奇な機能を持ったナノ構造のデザインを行っています。
[参考文献]
[1] T. Ono, K. Hirose, Phys. Rev. Lett. 94 206806 (2005).
[2] T. Ono, K. Hirose, Phys. Rev. Lett. 98 026804 (2007).
[3] T. Ono, Phys. Rev. B 87 085311 (2013).
 
新しい第一原理計算手法の開発
現在の密度汎関数理論の局所密度近似を用いた第一原理計算は、表面・界面電子構造の解明など物性物理分野で多くの成功を収めてきました。一方で、強相関電子系材料の電子状態を正確に予言できないなど、問題点も指摘されています。界面での新奇物理現象は、電子相関の強い材料を用いたデバイスで発見される可能性が高く、電子相関の高精度計算を実現させることは、予言の信頼性に関わる重要な課題です。本研究室では、デバイス用の新奇材料や界面構造のデザインに使うことのできる高精度な第一原理計算法の開発を目指します。